Wako LALシステム

SLP-HSシングル試薬セットⅡ

原理

カイコ(Bombyx mori)の体液中にはフェノール酸化酵素前駆体(ProPO)カスケードと呼ばれる生体防御機構が存在し、ペプチドグリカン(PG)および(1→3)-β-Dグルカン(β-グルカン)によって反応が開始され、最終的にフェノール酸化酵素前躯体(ProPO)がフェノール酸化酵素(PO)に変換されます。ProPOの活性化の機構は、複数のセリンプロテアーゼの活性化を含むカスケード機構であると解明されました。このカスケード機構は、異物侵入の際に昆虫体内で認められるメラニン形成に重要な役割を果たしていると考えています。

SLP 試薬は、カイコの体液を無菌的に採取・調製した、ProPOカスケードの因子をすべて含んだ凍結乾燥品です。本試薬はPG およびβ - グルカンによって活性化され、基質剤に含まれるDOPA(L-3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン)を酸化し、メラニン色素を生成します。PGはほとんどの細菌の細胞壁に、β-グルカンも多くの真菌の細胞壁に認められる成分であることから、生成したメラニン色素を指標として、各種微生物の検出が可能です。

SLP試薬の活性化機構は図1のとおりです。すなわち、PGまたはβ-グルカンがそれぞれの認識タンパク(PGRPおよびβGRP)と結合することにより、ProPOカスケードの反応が開始され、最終的にPOが活性化されます。活性化したPOによって基質剤中に含まれるDOPAが酸化され、結果として黒色のメラニン色素が生じます。カブトガニ血球抽出物(ライセート試薬)で検出することができるエンドトキシンはSLPのカスケード機構を活性化しませんが、ライセート試薬では検出できないPGをSLP試薬で検出することができます。(図1)

SLP試薬は、各種細菌由来のPGおよびβ-1、3-グルコシド結合を持つβ-グルカンに強く反応しますが、グラム陰性菌の細胞壁成分であるリポ多糖(エンドトキシン)にはほとんど反応しません。

図1 カイコ血液のフェノール酸化酵素前駆体カスケード

PGはグラム陽性菌のみならずグラム陰性菌にも存在するため、SLP試薬は、グラム陽性・陰性にかかわらず、広く一般の細菌に反応します。また、真菌由来のβ-グルカンにも反応することから、SLP試薬は微生物全般に反応すると考えられます。これらのことにより、エンドトキシン及びβ-グルカンに反応するライセート試薬とSLP試薬の併用で、検体中の微生物の種類を予測できる可能性が考えられます。

特長
  • 特別な測定装置を必要としない目視判定法による測定可能
  • トキノメーター® を用いることにより、精度よく、高感度にペプチドグリカンおよびβ-グルカンの定量が可能
用途
  • ペプチドグリカンの構造活性相関、生合成、代謝、病因的意義の解明
  • 水質汚染の指標
  • 人工透析液の微生物汚染対策
  • 医薬品、生物製剤、遺伝子工学製品などの菌体成分混入の検出
  • 昆虫の生体防御反応機構の解明
内容
●SLP-HSシングル試薬セットⅡ
1.SLP-HS(Silkworm Larvae Plasma High Sensitive)
 Reagent Ⅱ
0.1mL用 × 20バイアル
感度 :
10pg/mL (PG), 1pg/mL (β-グルカン(カードランアルカリ溶解液))
※トキシノメーター® (30℃)で120分以内に検出
2.SLP-Diluent(SLP溶解液)
5mL用 × 2バイアル
3.Standard(標準液)
0.5mL用 × 1バイアル
 
Staphyrococcus aureus由来の可溶化ペプチドグリカン標準品
価格
コードNo. 品名 規格 内容量 希望納入価格(円)
296-81001 SLP-HS シングル試薬セットⅡ 微生物検出用 20回用 照会
関連商品
コードNo. 品名 規格 内容量 希望納入価格(円)
030-09903 カードラン (※1) 生化学用 1g 2,000
(※1):(1→3)-β-D-グルカン

測定方法

SLPを用いたPG並びにβ-グルカンの測定法として、トキシノメーター® 法、目視判定法があります。

トキシノメーター® では、活性化に伴って生じる色素量を吸光度変化として捉え、吸光度があらかじめ設定したしきい値に達するまでの反応時間を活性化時間(Ta)とし、Taを指標にSLP活性化物質(PGおよびβ-グルカン)を定量します。この原理は、トキシノメーター® を用いてエンドトキシンを測定する場合と同様です(図2)。トキシノメーター® 法を用いた測定例を図3に示します。

目視判定法では、一定時間反応させた後、反応液の色調の変化を観察することにより判定を行います。この方法は、ライセート試薬におけるゲル化法と同様の方法ですが、反応液の色が変化するため判定が容易であること、振動の影響を受けないこと等で優れています。


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