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和光純薬の新規法によるサブトラクションキット
DsDD cDNA Subtraction Kit Wako

Tester cDNAをそのままの形でサブトラクトします。断片化する必要はありません。

DsDD(Duplex-specific Direct Digestion) cDNA Subtraction Kit Wakoは、 cDNA Libraryから調製したTesterおよびDriver cDNAを調製して、サブトラクションを行なえます。TesterおよびcDNAを用いて組織非特異的に発現している遺伝子同士をハイブッド形成させ、二本鎖特異的DNAヌクレアーゼであるDuplex-specific nucleaseによって、そのハイブリッドcDNAを分解した後、残ったDriver cDNAをExonucleaseTによって分解除去し、Tester cDNA 中に特異的に発現しているcDNAを高い効率で濃縮する方法です。
使用方法として癌細胞組織の特異的な機能、性質を解析したい場合には、Tester cDNAを癌細胞組織、Driver cDNAを正常細胞組織から調製して、癌細胞組織特異的に発現している遺伝子由来cDNAを濃縮することができます。DsDD cDNA Subtraction Kit Wakoは、cDNA Libraryをスタート材料として用いることができ、全工程を2日で行なうことができる画期的な技法です。

特長

  • cDNA Library から作製が可能
  • TesterおよびDriverの優れた選択性
  • Duplex-specific nucleaseによる除去法を採用
  • 操作が簡便であり、作業工程が少なく2 日で終了
コード番号 品名 容量 希望納入価格
294-62001 DsDD cDNA Subtraction Kit Wako 5回用 98,000

*表示している希望納入価格は「本体価格のみ」で消費税等は含まれておりません。
*表示している希望納入価格は2012年12月の価格です。最新価格は「製品検索」からコードNo.で検索してご確認ください。

キット概略図

図1

使用例

ヒト肝臓ガン由来のHepG2細胞および、ヒト正常肝臓組織由来のcDNAライブラリーを用いて高発現ハウスキーピング遺伝子であるGAPDHとHepG2細胞で特異的に発現しているAFP遺伝子を用いて、サブトラクションを行なった。


図2

GAPDHは、HepG2 cDNAおよび、正常肝臓組織cDNAで増幅バンドが確認できるが、Subtraction cDNAでは確認することができてい ない。一方、AFPは、正常肝臓組織 cDNAでは増幅が確認できませんが、Subtraction cDNAにおいてはHepG2 cDNAと同程度のDNA増幅を認めることがでた。本法によって得られたSubtraction cDNAは、HepG2特異的発現遺伝子が効率よく濃縮できていいることが確認された。

Q&A

Q: DsDD cDNA Subtraction Kitは、何をするためのキットか?

A: 比較したいcDNAライブラリーをPCR増幅などで増幅してTesterおよびDriver cDNAを調製し、そのDNA増幅産物のままサブトラクションを行なえるキットです。従来法に比べ、操作が簡便で、わずか2日で実験を行なうことがでます。従来法ではできなかった手持ちのcDNAライブラリーや市販のcDNAライブラリーから実験が始められ、また、最終的に調製したSubtacted cDNAは、house-keeping遺伝子などの混入が少ない cDNAであり、種々の用途にすぐに応用できます。

Q: DsDD cDNA Subtraction Kitの特長は、何か?

A:

  • cDNAライブラリーをお持ちであれば、全工程を2日で行なうことができます。
  • 工程すべてをDNAの状態で行なえるため、熟練した技術を必要としません。
  • cDNAの調製におてい選択性が非常に高いです。
    市販品およびユーザーが独自で作製したプラスミドcDNAライブラリーより作製ができます。また、plasmid以外にも、5'および3'側にアダプターを付加したcDNAからでも作製が可能です。
  • 操作が簡便です。
  • 最終的に調製されるSubtracted cDNAは、最初に用いたTester cDNAを反映しています。
    Testerを制限酵素処理することがないため、最初に用いたTester cDNAが、そのままの状態でSubtracted cDNAに反映されます。ベクターライブラリーに完全長のcDNAライブラリーを用いれば、原理的には、取れてきたSubtracted cDNAは完全長を反映しています。
  • リバースサブトラクションも、TesterとDriverを入れ変えるだけでできます。
  • 調製したSubtacted cDNAは、種々の用途にすぐに応用できます。
    調製したSubtacted cDNA中には、house-keeping遺伝子などの混入が少ないため、ベクターへのサブクローニング(体系シークエンス)やDNAチップのプローブとして使用することができます。

Q: PCR-Select法どこが異なるのか?

A:

  スタート材料 アダプターの付加 ハイブリダイゼーションの回数 house-keeping遺伝子の混入
DsDD法 cDNAライブリーや5'および3'末端に
アダプターが付加されたcDNA
必要なし 1回 分解除去しているので
非常に低い
PCR-Select法 RNA 必要 2回 分解除去しないため、
混入する恐れがある。

PCR-Select法は、毎回、RNAよりcDNAを調製する必要がありますが、DsDD法は、cDNAライブラーがあれば実験ができます。また、TesterおよびDriver cDNAをRsaI(4塩基認識)で消化し、低分子化しアダプター分子を3'および5'側に結合させなければなりません。DsDD法は、その必要がありません。よって、最初に用いたTester cDNAがそのままの状態でSubtracted cDNAに反映されます。
PCR-Select法は、2回のハイブリダイゼーションを必要としますが、DsDD法は、1回です。
PCR-Select法は、たくさんのcDNAサンプル中より、Supression-PCRにより、Subtacted cDNAを特異的に増幅するのに対し、DsDD法は、house-keeping遺伝子などの共通に発現している遺伝子をハイブリダイゼーション後、分解除去する方法を採用しており、house-keeping遺伝子などの混入を極力軽減できます。また、DsDD法では、原理的にsubtracted cDNAのみの集団であるため、クローニングやDNAプローブ作成などにすぐに応用できます。

Q: DsDDで特に注意する点は何か?

A:

  1. 使用するTester側には、一方向に挿入されたcDNAライブラリーを用いること。
    Tester側のcDNAライブラリーは、必ずベクターに対して一方向に挿入されているcDNAライブラリーを使用して下さい。一方向でないcDNAライブラリーを用いると、λエキソヌクレアーゼにより1本鎖にしても、Sense 鎖および、Antisense 鎖のcDNA が混同するため、Tester同士でハイブリッド形成してしまい、Subtraction 効率を下げる要因になります。
  2. 低分子DNA除去用のカラムを使用すること。
    DSN(Duplex-specific nuclease)は、8bp以上の完全一致の2本鎖をDNA分解する酵素であるため、短い断片が多く残ります。エタノール沈殿では、これらの断片やPrimerなどを除くことができません。Primerの残存は、非特異的にハイブリダイズし、DSNの非特異的な分解の原因になります。また、DSNの分解産物は、最後のPCRの際、非特異的なプライマーとして働き、その結果、低分子の断片が増加するなどの非特異的な断片の増幅の原因になります。
  3. エタノール沈殿の共沈剤に、必ず添付のエタ沈メイトを使用すること。
    共沈剤に核酸であるtRNAなどを用いると、これらがTester cDNAと非特異的にハイブリダイズし、DSNによる非特異的分解の原因をなります。
    エタ沈メイトは、ポリアクリルアミド系の共沈剤で、約100%の回収率でDNAを回収します。また、通常では目視できない沈殿でも、目視できるようになり、ピペットで吸いこんでなくなるということがありません。
  4. 1ulのピペッティング操作に適応したピペットを使用すること。
    1ulのピペティングには、できる限りピペッティング操作に適応したピペットを使用して下さい(例えばギルソン社製ピペットマン 2P )。特に、ハイブリダイゼーションを行なう際のTester ssDNAおよびDrive dsDNAのピペッティングには必要です。この操作では、Tester:Driver=1:200という比率が重要であるため、できるだけピペッティングによる誤差を軽減させる必要がります。
  5. 酵素反応には、PCRチューブを使用すること。
    マニュアルに記載しているDNA増幅反応は、できる限りPCRチューブを使用して下さい。熱効率がよいため正確な反応が期待できます。

Q: キット以外に用意するものは?

A:

  1. TesterおよびDriver cDNA増幅用cDNAライブラリー
  2. TesterおよびDriver cDNA増幅用Primer
  3. コントロール遺伝子増幅用Primer(GAPDH、β-アクチンなど)
  4. DNA増幅用酵素(TOPOTAQ DNA polymeraseなど)
  5. dNTP Mixture
  6. 低分子DNAおよびPrimer除去用カラム
  7. 制限酵素
  8. フェノール:クロロホルム:イソアミルアルコール(25:24:1)
  9. 70%、99.5%エタノール
  10. DNAサイズマーカー
  11. アガロース
  12. 臭化エチジウム
  13. 1×TAE Buffer
  14. Loading Buffer
  15. 滅菌蒸留水

Q: DsDDは何の略か?

A: DsDDは、Duplex-specific Direct Digestion(2本鎖特異的な直接的消化)の略です。Duplex-specific DNA Nucelaseにより、ハイブリッド形成したDNA同士を特異的に切断させます。

Q: TesterとDriverとは?

A: 特異的な発現をしている側のcDNAを“Tester”と呼び、基準となるcDNA側を“Driver”と一般的に呼んでいます。がん特異的なcDNAライブラリーより準備したcDNAを“Tester”、正常の細胞由来のcDNAライブラリーより準備したcDNAを“Driver”として用います。

Q: ゲルろ過カラムは何を使用すればよいか?

A: 100bp以下を除去できる市販のゲルろ過カラムを使用することができます。
Code No. 195-14451 Spin Cleaner

Q: ハイブリダイゼーションは、16時間しないといけないのか?

A: 16〜20時間であれば問題ありません。16時間としているのは、その日の17時にハイブリダイゼージョンを行なえば、翌日の9時に次の操作ができるように配慮しているためです。

Q: Driver ds cDNAをプロトコール通りに調製したが、薄くて200ng/ulに調製できないがどうしたらよいか?

A: 濃度が薄い場合は、共エタノール沈殿を行なって下さい。チューブに、絶対量がそれぞれ、Testerで1ng、Driverで200ngになるように入れた後、滅菌水で100?L とし、Ethachinmateを 1uL、3mol/L Sodium Acetate を 10?L、エタノールを 250?L 加えて、ボルテックスで混和後、遠心分離して下さい。次に上清を捨て、150ulの70%エタノールを加え遠心分離後、上清を除き、乾燥し、3ulの滅菌蒸留水を加えて溶解して下さい。これをハイブリダイゼーションに使用します。
このハイブリダイゼーションでは、Tester:Driver=1:200という比率が重要です。多少のエタ沈によるDNAのロスは問題ではありません。

Q: DSN (Duplex-specific nuclease)は、どんな特長を持った酵素か?

A: DSNは、カムチャッカガニの肝臓に由来する新規の二本鎖特異性DNA分解酵素で、2本鎖DNA およびDNA-RNAハイブリッド中のDNA 部分を特異的に切断します。また、至適温度が55〜65℃で、Mg2+ 要求性で、EDTA により活性が阻害される特長があります。高温で反応を行なうことができるため、DsDD法では、stringencyの高い反応を行なうことが可能になっています。

Q: PCRチューブは使用しないといけないのか?

A: マニュアルに記載しているDNA増幅反応は、できる限りPCRチューブを使用して下さい。熱効率がよいため正確な反応が期待できます。

Q: Drive ds cDNAの制限酵素処理は必要か?

A: Tester 側とDriver側のベクターが同一な場合は、制限酵素処理は必要になります。制限酵素処理の目的は、Primer同士の結合による非特異的なハイブリによるDSNの分解を防ぐためです。制限酵素で、短くすることでTesterとDriverのcDNA領域にのみ、相補的なcDNA同士をハイブリダイズさせることができます。Tester側とDriver側を増幅するPrimer setを変えることで、さらに非特異的なハイブリを軽減できます。

Q: Tester側とDriver側を増幅するPrimer setは、同一でよいのか?

A: 同一セットでもよいですが、酵素処理自体100%の反応ではありません。未消化のDriver cDNAのプライマーとTester ss cDNAのプライマーが結合し、DSNにより分解されてしまいます。そのことを防ぐためにも、Primer setを別々することをお奨めします。

Q: 制限酵素処理をすることでDriver cDNAの内部が切断されてしまう場合があるが大丈夫か?

A: 問題ありません。分解されても、Tester ss cDNAとハイブリすることができます。

Q: Exonuclease I処理は必要か?

A: 必ず必要な操作ではありませんが、Subtacted cDNAを標識プローブなどに使用する場合はドライバー由来の cDNA が分解除去されるため、バックグランドの低減が期待できます。

Q: 最後、サブトラクトされたcDNAの増幅に用いるプライマーは、りん酸化の必要はあるのか?

A: りん酸化の必要はありませんが、その場合、新たにプライマーの合成が必要となります。できれば、最初に用いたプライマーより、内側の領域のプライマーを用いてPCRすることをお奨めします。

Q: テスターやドライバーcDNA の調製に使用したplasmid DNAの影響はあるのか?

A: 影響はありません。DsDD法では、2本鎖特異的なDNA分解酵素(DSN)を使用しているため、plasmid DNAは分解されます。ビオチンアビジン結合法、ラテックスビーズを用いたoligo(dT)固相法などの従来法は、このplasmid DNAを除くことができないため、形質転換やプローブの作製などに影響がでるなどの欠点がありました。

Q: マニュアルで推奨しているTOPOTAQ DNA polymeraseとは、どんな特長があるのか?

A: 本製品は、Pyrococcus DNA polymeraseおよびTaq DNA polymerase由来の触媒ドメインとメタン細菌であるMethanopyrus kandleri由来の非特異的なDNA結合ドメインを融合した新規の耐熱性DNA Polymaraseです。また、本酵素群は、トポイソメラーゼ活性を有しています。これらの性質により、これまでの酵素では困難であった、GC- rich領域の増幅が酵素のみの反応で可能となりました。TOPOTAQ DNA polymeraseは、Hot-start機能を持つため、非特異的な増幅を抑えることができます。

Q: Ethachinmateとは何か?

A: エタ沈メイトは、株式会社ニッポンジーンの製品で、核酸(DNAおよびRNA)をエタノールまたは、イソプロパノール沈殿させる際に使用する高分子キャリアーです。本品を使用すると、希薄な核酸溶液から定量的に、微量な核酸を回収することができます。また、エタノールやイソプロパノールを加えた後の- 20℃または、-80℃での冷却が不要で、直ちに遠心操作を行なえます。回収した核酸は、バッファーなどに溶解し、そのまま、各種酵素の基質として使用できます。

Q: 取れてくるSubtracted cDNAの大きさはどのくらいか?

A: 弊社で、確認したところ500〜1500bpでした。これは、最初に用いたcDNAライブラリーおよび DNA増幅の伸張反応時間に大きく影響します。
弊社では、Testerで用いたHepG2由来のcDNAライブラーと最終的に取れてきたSubtracted cDNAライブラリーとで、ほぼ同じ鎖長分布を示していました。

Q: サブトラクションの効率はどのくらいか?

A: Tester側に肝臓癌細胞であるHepG2細胞由来cDNA、Drive側にヒト正常肝臓組織由来cDNAを用いた場合、Real-time PCRでGAPDHが、1/1,000にまで抑えられていることを確認しています。

Q: サブトラクトした遺伝子をサブクローニングしたいがどれがよい方法か?

A: TAクローニングもしくは、制限酵素処理後、目的のベクターに挿入し、形質転換を行なう方法が一般的です。

Q: サブトラクトされていることを証明する方法は?

A: 調製したSubtracted cDNAをTAクローニング後、コロニーPCRで挿入断片を確認し、それをプローブにし市販のmRNAがブロットされたドットメンブレンで組織特異的な遺伝子であるかを調べる方法があります。また、シークエンスを行ないデータベースで検索して調べる方法や、DNAチップにあて解析することもできます。

掲載されている試薬は、試験・研究の目的のみに使用されるものであり、「医薬品」、「食品」、「家庭用品」などとしては使用できません。
表示している希望納入価格は「本体価格のみ」で消費税等は含まれておりません。
表示している希望納入価格は本記事掲載時点の価格です。最新価格は「製品検索」からコードNo.で検索してご確認ください。

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