昆虫細胞・バキュロウイルスによる発現系

富士フイルム和光純薬では昆虫細胞・バキュロウイルスによるタンパク質発現受託サービスを提供しています。少量培養から大量培養まで一定条件でのスケールアップが可能であり、基礎研究から産業用途での大量生産まで対応いたします。また、発現コンストラクトの作製から生産・精製まで、組換えタンパク発現に関わる全てのステップの受託を行うことができます。日本国内で400件以上の発現の実績がございます。本技術は、米国プロテインサイエンス社(Protein Sciences Corporation : PSC)と業務提携・技術導入したものであり、AcNPVを用いた組換えタンパク質の発現受託サービスとなります。さらに、PSC社では、cGMPに準拠した500L培養設備を保有しており、cGMPレベルでの生産を提供させていただいております。
- バキュロウイルスとは
- バキュロウイルスによるタンパク発現システム
- 当社受託サービスの特長
- BAC Xpress EZ(簡易発現コース)
- サービスの流れ
- 納品物
- 発現例
- 価格/納期
- BAC Xpress( 通常コース)
- サービスの流れ
- 納品物
- 価格/納期
- 関連製品
バキュロウイルスとは
バキュロウイルス(Baculovirus)は、昆虫を主な宿主として感染する核多角体病ウイルス(Nucleopolyhedrovirus:NPV)であり、増殖過程で感染細胞の核内にポリヘドリン(Polyhedrin,多角体)と呼ばれる結晶構造のタンパク質を形成します。ウイルスの増殖や複製に関与しないこのタンパク質は、細胞の総タンパク質の約50%を占めるほどに発現し、バキュロウイルスを包み込んで自然界から守る働きをします。このポリヘドリン遺伝子を発現する強力なプロモーターの下流に発現目的遺伝子を導入し、この組換えウイルスを昆虫細胞に感染させることでタンパク質を大量に発現させます。 |
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バキュロウイルスによるタンパク発現システム

●大量発現
ポリヘドリン遺伝子を発現する強力なプロモーターの下流で目的 とするタンパク質を発現させるため、大量の発現タンパク質を得ることができます。
●無血清培養・CO2不要
培養に血清およびCO2が不要なため取り扱いが容易です。また、 培養温度域は23〜28℃と大腸菌やほ乳類細胞と比べると低温培養ができます。
●タンパク質の翻訳後修飾
糖鎖や脂肪酸の付加、りん酸化修飾を受け、天然型に近い、活性を保持したタンパク質が得られます。
●安全
バキュロウイルスは宿主選択性が高いため、ヒトや動物といった脊椎動物および動物細胞系には感染しません。非常に安全性が高いです。
当社受託サービスの特長
●組換えタンパク質の生産にはタンパク質を高発現するexpresSF+®細胞を使用します(お客様のご希望により、Sf9等 他の昆虫細胞での対応も いたします。)。●簡易的にタンパク質の発現を確かめることのできる安価な「Bac Xpress EZ」コースを用意しております。
●遺伝子のコンストラクトから感染用ウイルスの生産、少量・大量生産といった各ステップのみの受託も承ります。
1) 発現成功率(ウェスタンブロッティングによる発現確認) | 2) 生産量と純度 |
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BAC Xpress EZ(簡易発現コース)
昆虫細胞およびバキュロウイルスを用いた組換えタンパク質の簡易的な発現受託サービスです。 組換えタンパク質を2週間でお手元にお届けいたします。「低コストで発現チェックを行いたい方」にオススメのサービスです。
サービスの流れ
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お客様で弊社トランスファーベクターへ目的の遺伝子をサブ クローニングしていただきます。 | ||
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ご提供いただいた発現ベクターを用いて、簡易的に組換えウ イルスの作製を行います。 (一般的に行われる、組換えウイルスの純化・増幅・タイター測定 を省略しております。) | ||
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100mLのexpresSF+®細胞培養液にコトランスフェクション によって得られたウイルス液を添加し、組換えタンパク質の発現を行います。 | ||
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得られた発現物の発現確認をウェスタンブロッティング(tag抗体)によって行います。 | ||
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発現物と報告書を送付いたします。 | ||
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お客様のもとで発現物のご評価をしていただきます。 |
※ベクター構築を当社でお請けすることも可能です(有償)。
詳細はお問い合わせください。
納品物
培養上清、細胞ペレット、ウイルス液(コトランスフェクション液)、 試験報告書
発現例
His-tag付きタンパク質の発現(ウェスタンブロッティング)
価格/納期

表示価格はすべて税別価格です。
BAC Xpress( 通常コース)
昆虫細胞およびバキュロウイルスを用いた組換えタンパク質を発現条件最適化から大量生産まで提供する網羅的サービスです。発現コンストラ クトの作製からタンパク質の大量生産まで行います。
サービスの流れ
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弊社トランスファーベクターへ目的の遺伝子をクローニングします。 | ||
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発現ベクターとウイルスDNAを細胞内に導入します。 | ||
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組換えウイルスの純化を行います。 | ||
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純化した組換えウイルスを増幅します。 | ||
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expresSF+®細胞培養液にウイルス液を添加し、組換えタンパク質の発現を行います。 | ||
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得られた発現物の発現確認をウェスタンブロッティング(tag抗体)によって行います。 | ||
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発現物と報告書を送付いたします。 | ||
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お客様のもとで発現物のご評価をしていただきます。 |
納品物
培養上清、細胞ペレット、ウイルス液、試験報告書
価格/納期

注) 本サービスの納品物は「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律(通称:カルタヘナ法)」使用規制対象となりますので、ご使用に際しては規制に則し、適切にお取り扱いください。
関連製品
昆虫細胞培養用培地「PSFM-J1培地ワコー、液体」 | ||
本品は、無血清培地のため、血清ロットによる生物活性の変動やウイルス汚染の心配がありません。 また、High Five(H5)細胞培養において、L-グルタミンの添加は必要ありません。
● Sf9細胞やSf21細胞、High Five(H5)細胞でタンパク質発現良好 ● ロット間差が少ない ● L-グルタミン等の添加剤不要 |
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掲載されている試薬は、試験・研究の目的のみに使用されるものであり、「医薬品」、「食品」、「家庭用品」などとしては使用できません。 |